ジェイムス・ブラウン

黒人音楽史上、最も重要な男性スターといわれるゴッド・ファーザー・オブ・ソウルジェイムス・ブラウン(jB)。その独創的なダンス・ステップや呪術的なマント・ショーを盛り込んだステージンク、ファンクに導入されたリズム感、ラップ・ミュージックの原形となったパワフルかつユニークなヴォーカル・スタイルなど、現代の音楽界に与えた彼の影響は計り知れない。大恐荒の貧しい時代に生まれ(生年は1928年説と33年説がある)、プロボクサーなど職業を転々とした彼は20歳のころ、教会のコーラス隊仲間であるボビー・バードとゴスペル・デュオを結成。その後、スワニーズというゴスペル・グループに参加した。これが後にザ・フェイマス・フレイムズという、彼のヴォーカルを中心とする本格的なＲ＆Ｂグループとなる。ジョージア州メイコンを活動基盤に南部をツアーしていた彼とバンドは、1956年にフェデラル・レコードと契約。この年、最初のシングル「プリーズ・プリーズ・プリーズ」をローカル・ヒットとする。このラフなＲ＆Ｂ曲で地域的なスターとなったjBは58年の大ヒット曲「トライ・ミー」(R&B1位、ホップ48位)とその劇的なステージンクで一躍全米にその名を轟かせた。59年１月のデビュー・アルバム『プリーズ・プリーズ・プリーズ』以後、空前のベスト・セラーとなった『ライヴ・アット・ジ・アポロ』(63年１月)をはじめとする数々のアルバムをヒットさせたjBはまた、プレスリーにも匹敵する数のヒット・シングルを生み出した。65年の「パパのニュー・バッグ」「アイ・ガット・ユー」「マンズ・マンズ・ワールド」など、数え切れないほどのＲ＆ＢチャートNo.1曲を生み、ホップ・チャートのトップ10を記録した彼は60年代後半にはブラック・パワーを象徴する存在にまでなっていた。71年にメジャーのポリドールと契約。バンド、jB